かつては、企業が就職活動中の学生を選び、ふるいにかけるのが当然とされていました。
しかし、社会のデジタル化と価値観の変化により、今や学生が企業を選ぶ時代へと移り変わっています。
特に、SNSが発達した現代では、企業の評判が瞬時に広まり、良い評判も悪い評判も簡単に見つかります。
この環境の中で、企業は「選ばれる企業」になるための戦略を持つ必要があります。
この記事では、新卒採用活動において重要なポイントや、学生視点を取り入れた採用活動の工夫を解説します。
目次
企業の採用活動が変化する理由

日本の景気が良かった時代、企業は多くの応募者の中から選り好みできる状況にありました。
しかし、時代の流れや労働市場の変化により、特に優秀な人材を採用するためには、企業側が「選ばれる」努力をする必要性が増しています。
また、親の影響力の高まりも見逃せません。
最近では、学生本人だけでなく、親が就職活動に関与するケースも増えています。
企業が学生に加え、その親御さんからも支持を得ることが、採用活動の鍵となってきているのです。
親を味方につける重要性

親が関与する背景と影響
新卒採用では、以下のような採用手法が一般的です。
- ハローワークを通じた求人公開
- 学校訪問による就職担当者への依頼
- 有料紹介サービスの利用
しかし、近年では、学生本人だけでなく親も含めて企業を選ぶ時代となっています。親が就職活動に参加する背景には、若者が職場環境や待遇について正確な情報を得たいというニーズがあり、親がそのサポート役を果たしていることが挙げられます。
親御さんに信頼してもらう工夫
親御さんに認めてもらうための工夫として、以下を実施しました。
- 企業説明会での透明性を確保
給与や福利厚生、将来のキャリアプランについて、親にも分かりやすく説明しました。 - 親への積極的な情報提供
特に労働環境や社員の声など、親が気にするポイントを強調しました。
結果として、当社への応募が増加し、昨年も親が積極的に関与した3名の学生が入社しました。親御さんに信頼していただける企業であることが、今後の採用活動の重要な要素であると感じています。
SNS時代に適応する採用活動

デジタル時代の採用手法
現代の学生はデジタルネイティブ世代であり、SNSが日常生活の一部となっています。企業の採用活動もこの変化に対応する必要があります。
LINEやSNSでの応募手続き
現在では、履歴書やエントリーシートもオンラインで提出するのが主流です。一部の企業では、LINEスタンプを使った連絡や応募プロセスを導入しています。このような柔軟なアプローチは、学生からの好感を得やすくなります。
当社でも、手書き履歴書を基本としていますが、時代に合わせたデジタル化の検討が急務と感じています。
リモート面接の導入
新型コロナウイルスの影響で、リモート面接を導入する企業が増えています。ZoomやLINE電話などを活用することで、学生の負担を軽減し、採用活動の効率化を図ることが可能です。
ただし、当社では「対面で話すことで得られる相手の本質を見極めたい」という考えから、現時点では来社面接を基本としています。しかし、デジタル面接とアナログ面接を組み合わせることで、より多様な学生に対応できると考えています。
学生が求める「仕事観」の変化

若者の仕事観の変化
近年、若者の「仕事観」に大きな変化が見られます。具体的には以下のような傾向があります。
- ブラック企業を避けたい
- 残業をしたくない
- プライベートを重視したい
当社のような運送業では、「重い・きつい・つらい」といったイメージがあるため、採用活動の中でその払拭が課題となっています。
学生が企業を選ぶポイント
リクルートの調査によると、学生が企業を選ぶ際の重要なポイントは以下の通りです。
- 安定している会社
- 自分のやりたい仕事ができる会社
- 福利厚生が充実している会社
女子学生は特に、勤務制度や住宅手当などの福利厚生を重視する傾向があります。当社では、働き方改革を推進し、残業削減やワークライフバランスの改善に取り組んでいます。
同業他社と比較しても、福利厚生が充実している点を強調し、学生や親御さんの安心感につなげています。
まとめ:デジタル時代の採用活動で選ばれる企業に

企業が新卒を選ぶ時代は終わり、今や「選ばれる企業」になる努力が求められています。学生やその家族の信頼を得るために、以下のポイントを意識することが重要です。
- 親御さんを含めた採用活動
学生だけでなく、親御さんにも企業の魅力を伝える工夫が必要です。 - SNSやデジタル技術を活用した採用活動
リモート面接やオンラインでの応募受付を取り入れ、学生の利便性を高めます。 - 若者の仕事観を理解し、対応する
プライベートを重視する傾向に配慮し、柔軟な働き方を提供します。 - 透明性と誠意ある対応
学生や親御さんに対して、企業の実態を正確かつ誠実に伝える姿勢が重要です。
最後に、人事担当者としての使命は、デジタル化や変化を恐れず、学生との信頼関係を築くことです。「人」に寄り添いながら、選ばれる企業を目指していきましょう。